アートキャラバン・サテライト企画レポート あおきりみかん編

こども戯曲ワークショップ
「演劇の台本を書いてみよう」

日程・プログラム

2023年11月23日(木・祝)
10:00~12:00 クラス1(小学1年生~小学3年生)
13:00~15:00 クラス2(小学4年生~中学3年生)1日目

会場 G/PIT
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄1-23-30 中京ビル1階

ワークショップ講師 鹿目由紀(劇団あおきりみかん)

概要はこちら

名古屋市伏見、御園座さんのすぐそばにある小劇場G/PITは、あおきりみかんさんにとってホームグラウンドのような場所なのだとか。
東海エリアで、数々の地域密着型のワークショップや公演活動をしている劇団あおきりみかんさんが、子どもたちに「戯曲」を書く面白さを伝える企画です。

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インフルエンザなどの影響で、キャンセルになった参加者も多く、特に小学校低学年のクラスは少人数ではありましたが、それでも密度の濃い、“劇作”の魅力を学ぶのに十分な時間を提供していました。

講義開始の少し前に会場内へ入ってみると、まずは、子どもたちが緊張せずに、楽しんで取り組めるようにと、テーブルにぬいぐるみを置いたり、ホワイトボードにかわいらしいイラストを描いたりなど、サポートメンバーの劇団員たちも一緒になって、雰囲気作りからしっかり行っていました。講義が始まってからも、子どもたちに思ったまま発言はさせながら、しっかりとやってほしいことは伝え、それが面白いことなのだとわからせる指導法は、名古屋市や豊田市で、子ども劇団の演出も担当している、経験豊富な鹿目さんならではの技術だと感じました。

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講師の鹿目由紀さん

元々、ある程度、物語を書くことに興味のある子たちではありましたが、あらためて戯曲の基本構造から丁寧に教え、特に高学年には、守るべきルールも伝えることで、参加者の本気度がぐんと上がっていきました。少しでも面白いものを書こうとしているのが強く伝わってくるのでした。

このワークショップ時間内は、参加する子どもたちを“作家先生”として扱うことになっており、サポートの劇団員の皆さんも、子どもたちのモチベーションを保つため、しっかりとケアをしていました。
高学年の子たちには、創作を開始する前に、体を動かすことで脳を活性化させることができると説明して、軽い運動もさせるなど、実はかなり実践的なワークショップでした。

そして、作劇の解説の時間になると、参加者たちに、普段、どんな物語を読んでいるか?どんなジャンルが好きか?などを質問してから、作劇の基本となる『いつ、どこで、だれが、なにをした』のプロットを書かせます。そして最初に必ず「タイトル」を決めることを推奨していました。「タイトル」を決めることで、執筆中に迷いが生じた際に、“戻ってくる場所“ができるのだと、プロ志望の人間にも聞いてもらいたいようなアドバイスもありました。

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次に長めに時間をとって執筆タイムに入ります。
戯曲を書くのは初めてという子どもがほとんどでしたが、それでも執筆タイムが始まると、全員がものすごい集中力で原稿用紙に向かっており、その姿はすでに作家先生そのものでした。
戯曲の特徴でもある、セリフのやり取りがスムーズに出てこない子には、鹿目さんが「まず誰がしゃべるの?」「それに対して誰がなんて言うの?」と優しく誘導している場面もあり、子どもたちもそこから徐々に筆が乗ってくるようでした。

書き終わると、今度はそれを劇団員たちが本読みします。たった今書きあがったばかりの作品をすぐに読むので、劇団員たちも大変なのですが、せっかく子どもたちが書いたものを、可能な限り面白いものにしようと、プロ意識全開で取り組んでいる様子が、とてもかっこよかったです。
当然、それを見て、作家先生である子どもたちも大喜びで、とても満足そうでした。ある男の子は恐竜を登場人物にしており、役者たちに恐竜の基本的なポーズや歩き方などの指導をしたりと、ひと時、演出家体験もできていたのでした。

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当初から話していたとおり、子どもたちに戯曲を書かせると、大人では思いつかないようなシチュエーションや展開が出てきて、それだけでも十分面白く、ただ、あらためて、その自由な発想を目の当たりにすると、大人の書くものが、大きな意味でありきたりなもののようにも感じてしまいます。おそらく、普段はプロの書き手である鹿目さん自身にも、この機会が大きな刺激になっているのだろうと感じました。

このワークショップは11月25日にもう一度開催され、そこから生まれた戯曲の中から数本が選ばれ、12月22日には、劇団員たちがその戯曲に本気で取り組み、同じ劇場で発表会を行います。子どもたちも自分の作品が取り上げられることを目指して一生懸命取り組むことでしょう。この経験は、今後の観劇の際、また、将来舞台に携わるときに、その魅力を語る上での大きな指針になることでしょう。

参加者の中から未来の大作家先生が現れるのが楽しみです。

レポート:福永光宏

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