アートキャラバン・サテライト企画レポート 柿喰う客編

演劇のつどい リーディングワークショップ&座談会

日程

2023年9月18日(月・祝)

■13:00〜15:00 第一部 『桜の園』を読む! リーディングワークショップ
ファシリテーター 中屋敷法仁
ワークショップアシスタント 永島敬三、原田理央

■15:30〜17:00 第二部 いろんな演劇のかたちを考えてみる会(座談会)
スピーカー 中屋敷法仁、山田紗綾、吉良佳晃、中内こもる

会場

高知県県立民文化ホール 第11多目的室
〒780-0870 高知県高知市本町4-3-30

概要はこちら

第一部「『桜の園』を読む!リーディングワークショップ」

参加者18名は主に10代から20代の若者で、女性の割合が多かったですが、男性も何人かいて、高知での演劇活動で顔見知りと思われる人たちもちらほらいるようでした。
緊張と期待の面持ちで、時間どおりに全員が集まり、スタートしました。
内容はタイトルどおり、チェーホフの『桜の園』のある1場面を使ったリーディングのワークショップ。最初に心身のウォーミングアップのためとして30分ほど“しりとり”が行われました。最初はシンプルな“しりとり”でしたが、そこに少しずつルールを足していき、最終的には「トマトしりとり」という、延々と「トマト」に対して「トマト」と返すだけのしりとりになっていくのですが、この遊びが、この後に行われるリーディングのヒントにもなっているのです。

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休憩を挟んで、いよいよ『桜の園』のリーディング。配役を決めて各々が決められたセリフを読むのではなく、全員で、「好きなセリフ(部分)を読む」という、かなり斬新な本読み。「好きなセリフ」だけ読むので、当然声が誰かと被ったり、逆に無音になってしまうこともあります。最初こそ、参加者たちも手探りでしたが、この本読みルールに慣れてくると、段々と面白いリズムが生まれてきます。中屋敷さん曰く、「配役を決められて、"自分のセリフ"になると、セリフに責任感が生じてしまう。しかし、人間はすべての会話(発言)に責任感を持ってなどいない。"好きなセリフ(部分)を読む"ルールにすると、いい意味でセリフに責任感が無くなり、緊張のない体でセリフを出すことができる」とのことでした。そして、集団で一つのセリフを読むことで、誰かの持ってきたリズムに強制的に合わせることになり、余計なこと(感情や状況)を考えずにただセリフを出すので、結果として、心地の良いリズムで会話が進んでいくのです。実際、聞いていても本当に楽し気なリズムが生み出されており、どこか「柿喰う客」さんの作風に通じるものがあるようにも感じました。

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第二部「いろんな演劇のかたちを考えてみる会(座談会)」

最初にスピーカーと参加者全員の自己紹介から始まり、自由にどんなことでも発言していいルールが案内されます。学生の方からご夫婦で参加されている大人の方、芝居未経験者の方まで、本当に様々な参加者がいることがわかりました。

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話のとっかかりとして、そもそも「演劇とは?」というところから一つの定義を共有し、次に、柿喰う客の場合のこれまでやってきたいろいろな形態の公演の話、さらに、実際に公演ができるまでに行われている流れの説明など、基本情報が少しずつ共有されていきました。
これを受けて、スピーカーの面々が、実際にどのような演劇を行っているのか?どこに面白みを感じているのか?などを、各々の経験談を交えて話していきます。全体の空気が和んでくると、参加者の方からも質問が出るようになり、まさに全員参加の“座談会”という感じになっていきました。

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話は多岐に及びましたが、特に興味深かったのは、高知市内に、「ミニシアター蛸蔵」という高知の演劇人が運営にも参加している小劇場があり、そこでは地元の若手演劇人がいろいろな公演を行ったり、各地の劇団や演劇人を呼んでの企画公演があったりするそうで、かなり小劇場活動に力を入れている場所だということ。また、小学生と一緒に芝居作りをしている方から、「子供から、劇中に商売(モノを売る)したい、というアイディアが出ているのですがどうしたものか・・・」という相談が出て、大人の演劇人からはなかなか出てこない発想に、一同うーんと唸ってしまう場面があったのが面白かったです。
高知には演劇に関心があり、何か面白いことをやりたいと考えている若いパワーがあるのを感じ、その意味で、この企画が、“いい機会”になったのを感じました。

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レポート:福永光宏

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