アートキャラバン・サテライト企画レポート INDEPENDENT編

最強の一人芝居フェスティバル"INDEPENDENT"プレゼンツ
『俳優の名刺代わりになる一人芝居の創り方』in 松本 2023

日程

2023年12月9日(土)13:00~21:00(1日目)

会場

信濃ギャラリー
〒390-0874 長野県松本市大手4丁目7

講師

・米山真理(彗星マジック)
・勝山修平(彗星マジック)
・相内唯史(INDEPENDENT)

概要はこちら

23年に渡り、大阪を拠点に全国で一人芝居フェスティバルを開催する「INDEPENDENT」が、一人芝居創りのノウハウやポイントを2日間に凝縮して体験・実践する初めての公式ワークショップ in 長野。その1日目を現地で見学して参りました。

長野県松本市、上土劇場駐車場にひっそりと佇む”蔵”が、本ワークショップの会場となる「信濃ギャラリー」。12月にしてはあたたかい、良く晴れた土曜日のお昼どき、参加者が続々と集まってきました。

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参加者は総勢12名。本企画主催であり、ワークショップの講師を務める相内唯史さんによると、予想よりも早く参加者が集まったとのこと。参加者のうち、長野県在住の方は6名と意外にも少なく、全国から演劇活動を行う俳優・脚本家・演出家が集まりました。

一人芝居を「知る」

ワークショップは、相内さんによる座学からスタート。INDEPENDENTの紹介から、一人芝居の構造・パターン、創作のコツなど、自作のパワーポイントを使用して一人芝居のノウハウを伝授します。

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2時間半と長時間の講座ではあったものの、過去にINDEPENDENTで上演された具体的な作品を挙げながらの解説に、参加者は興味津々。過去650本以上の一人芝居上演実績という圧倒的な裏付けに、参加者からは「まったく退屈しない」との声が。

また、相内さんからは「小劇場で起こるハラスメントは、演出家が役者より知識を持って、優位に立ってしまうことから発生してしまう部分もあるのでは。こうしたワークショップの座学を通して役者も知識を身に付け、演出家と対等になることができれば。」とのお話も伺いました。

一人芝居を「観る」

知識を蓄えたあとは、座学で名前の挙がったいくつか作品のワンシーンを映像で鑑賞。座学講座と併せて一人芝居への理解度が深まります。
INDEPENDENTでは大阪本戦の全ての作品を映像記録しているものの、「一人芝居の魅力は生で観てこそ伝わるもの」というこだわりから一般公開したことはないとのこと。ワークショップの機会に過去の映像を鑑賞できるのはレアだといいます。

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映像鑑賞のあとは、本ワークショップ講師の勝山修平さん演出、米山真理さんによる一人芝居「シロとクロ」の実演。全編30分にも満たない短い作品で、実際の上演より狭いスペースでの実演との前置きがありつつも、作品が始まったとたん一気に引き込まれる一同。すすり泣く声さえ聞こえてきました。

講座や映像では伝わりきらない、一人芝居ならではの一人の役者が空間を掌握するパワーと、その身体の力強さに思わず圧倒されました。

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実演を通して、参加者たちの一人芝居に対するモチベーションがぐっと上昇するのを感じました。

一人芝居を「やる」

いよいよ参加者が一人芝居に挑戦する番です。INDEPENDENTで過去に上演された10作品分、冒頭5~7分を抜き出した台本が配られ、一人一作品ずつ選び、稽古ののち発表します。「高いクオリティは求めていない、実際にやってみることで座学で学んだことを体感してみてほしい」と相内さん。

まずは、2人1組のペアになり、稽古です。講師の3名はあくまで様子を見守る姿勢で、参加者主体での稽古進行を促します。相内さんは「参加者に委ねることで、予想しなかった面白いアイデアが生まれる瞬間が見られる」と語ります。

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初めましての方同士のペアがほとんどのなか、探り探り稽古を開始。稽古をしながら浮かんだ疑問を講師に相談しつつ、ペアでお互いの一人芝居を見せ合い、助け合います。2人1組のペアを組むことについて、相内さんは「一人芝居は、創り手だけでは面白いかどうかが分からなくなりがち。稽古では客観的な視点を取り入れることが重要です。」と言います。

途中で夜ごはん休憩を挟みながら約2時間半の自主稽古を終え、いよいよ1人ずつ発表の時間がやってきました。漂う緊張感に、思わず観客もどきどき。

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どうぞお手柔らかに、と思わずその場を和ませる参加者もみられるなか、いざ始まってみると、自然とどの参加者にも違った多様な表現がみられ、どの発表も面白いものでした。

発表が終わると、全体でフィードバックを行いました。相内さんは「役者それぞれの力で、しっかり作品を立ち上げられていた」とまとめます。参加者からは、「特別な技術はなくても、必死に取り組んでいる様子から何かが伝わることが一人芝居のよさだと思う」「相手がいる演技よりも、説明芝居に陥りやすかった」などの感想や気付きが挙げられ、一人芝居の奥深さを体感したところで、1日目のワークショップは終了。

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翌日2日目には《一人芝居を「創る」》のプログラムを実施。出演・脚本・演出の役割に分かれ、5分程度の一人芝居の作品を創り上げ、発表をしました。

本ワークショップは今年11月に広島県で、12月となる今回は長野県で実施されました。相内さんによると、どちらの実施にも多様な地域からの参加者が多く、全国にニーズがあると感じているとのこと。
ワークショップのバリエーションを増やしながら、ゆくゆくは全国に広めていきたい、と夢は膨らみます。

レポート:佐々木明音

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