アートキャラバン・サテライト企画レポート ネリム編

北区演劇体験(演技コース・アクションコース)

日程

2023年12月24日(日)13:00~17:00(2日目)

会場

上十条ふれあい館 第一ホール
〒114-0034 東京都北区上十条3-3-9

講師

■演技コース:深寅芥(演出家)
■アクションコース:宮崎聡美・池田大輔(★☆北区AKT STAGE)

概要はこちら

JR埼京線十条駅からほど近い、北区の施設での開催。この日は企画実施2日目の回だったので時間になると、すぐに講義が始まりました。演技コースの参加者はおそらくある程度演技経験のある方たちだったようで、「前の公演のとき――」「こないだの稽古で――」など、実体験と講義内容とを比較しながら学んでいるようでした。

この日の最初に、まず講師の深寅さんから、役者として、普段から何をしているかという問いが参加者に投げられました。例えばアスリートや音楽家の場合は、常日頃から訓練としてやるべきことがわかりやすい一方、役者の場合は具体的に何をしていたらいいのか、あまり体系化されていないと言うのです。この問いに対する答えのようなものが、ワークショップを進めるにつれ、徐々にわかっていきます。

画像

コミュニケーションを取り合うワークや、身体を意識するエクササイズなど、基本的なウォーミングアップをした後、順番に一人ずつが椅子に座り、「最近印象に残っていること」を皆の前で語らせます。皆さんそれぞれ面白いエピソードを話し、和やかな雰囲気になっていましたが、これが一体何の時間だったのか、終わった後に解説されます。講師曰く「日常で五感に残ったものを引き出す訓練」なのだと。台本を読んで、役のセリフを発するときでも、何かしら自分自身の記憶を頼りにすることが多く、そのためには自分の経験の中から、台本に最も近い感情を引き出すことが必要となります。そのためにも、こうしてすぐに“感情が動いたこと”を引き出せるようにしておくことは、役者にとってとても重要なのだと参加者に伝えられていました。遡って考えれば、普段からいろいろな体験をして、そのときの感情をしっかりと蓄積していくことも、役者として普段からやっておくべき訓練の一つになるわけです。

画像

次に参加者を二人組にして、即興でアルバイト先での様子を再現させます。二人のうち一人の実際のアルバイト先をシチュエーションにして、本人が「先輩」としてそこにいます。そこへもう一人が「新人」としてやってくる設定です。先輩が新人にアルバイトのことについて教えていくわけですが、かなりリアルな興味深い即興劇ができていました。ここでも終了後に解説が入ります。片方の人にとっては“知っている”アルバイト先なので、当然、働く際の様子がしっかりイメージできます。一方で、もう一人にとっては全く知らないアルバイト先なので、役同様に「新人」になれます。「先輩」「新人」がそれぞれリアルにイメージできているからこそ、興味深い即興劇ができたというわけです。ここでも、“経験”と“役”との関係性が解説され、「先輩」役の人は、如何にしっかりと自分のアルバイト先をイメージできるかが大事で、そこがしっかりしていればいるほど、この即興劇のクオリティは上がっていくようです。
演技コースでは、役者にとって“経験”がとても重要で、普段からそこを意識して過ごすことの大切さが教えられていました。

画像

次のアクションコースでは、小学3年生の男の子も参加し、殺陣の基本となるいくつかの型がレクチャーされていました。
最初に十分ストレッチをしてから、前日のおさらいとして、手を使った攻撃、ファイティングポーズからのジャブ、ストレート、クロス、フック、アッパーと、体全体で見せるアクションを練習していきます。同様に足技も数回繰り返していきました。
講師曰く、前の日よりも皆さん動けるようになっているようで、足もよく上がり、形もかっこよく決まっているように見受けられました。次に受けの手もいくつかレクチャーされ、パリィ、外受け、内受け、ダッキング、スウェイなどの殺陣の基本となる動きを、お手本を見つつ体験していきます。

画像

最後に、ペアになって5手の殺陣を作り、練習していきます。型の順番を覚えてから、それらがよりかっこよく見えるように、講師2人が指導していきます。特に小学生の男の子には池田さんがつきっきりで指導をしていて、男の子も夢中になって取り組んでいました。慣れてきたら今度はペアで役を入れ替えるなど、アクションを身近に楽しむことができていたようです。

画像

このワークショップは、このあと1月にも2回行われます。演技もアクションも時間を置くことでより深く身に付くと思われるので、全部の回が終わった後、参加者たちがどんな役者さんに成長していくのか、とても楽しみです。

レポート:福永光宏

関東
レポート
連携事業
2023年度

期間
開催地
会場
公式サイト
備考