シリーズ:劇場のホスピタリティ 「顧客と徹底的に向き合い生まれるサービス」

〇団体客が多い劇団ならではのシステム

――劇団四季さんの公演は、例えば高校生の団体だったり、観光で訪れた団体だったり、演劇ファンとは違う層のお客様も多いですが、みなさんきちんと背中をシートにつけて、静かに観劇されているので、なにか工夫をされているのかなと思いました。

植田 学校団体はどうしても多少騒がしいこともあるんですけど、その場合は学校の先生とも連携しながら、なるべく静かに観ていただくための丁寧なフォローを係員がおこなっています。当社の予約システムでは、団体のお客様が入る際には、チケットの販売の際に「このエリアには学生団体が座りますよ」と必ず明示するようにしています。そうするとお客様は「団体がいるんだな」ということを予め理解して購入できますし、団体と一緒に観るのが嫌だという方はその日を避けて購入されます。団体と一緒に観るのは控えたいというお客様も一定数いらっしゃるので、そのような記載を始めました。WEBサイトの予約を行うようになった当初からその記載は行っています。

――団体客の多い劇団ならではの発想でもありますね。

植田 「ここにこういう団体が入っている」ということは俳優とも共有し、ミーティングでも周知しています。劇団一体となって、団体の方をフォローしていくという体制はつくっています。

――なにか起きた時の劇場スタッフの方の対応がとてもスムーズという意見も見るのですが、劇場スタッフの方は直接雇用ですか?

植田 専用劇場においては直接雇用です。社員が統括をしていて、契約社員もいて、大半はアルバイトスタッフというピラミッドになっています。案内係の中にもチーフ、トレーナー、一般スタッフという3段階のピラミッドを作っています。通常のスタッフで対応できないことはチーフクラスが対応し、それでも対応が難しいケースは社員が常駐していますので、その社員が対応します。そこの連携はかなり密に行っています。もし現場で対応できないことも、リアルタイムで本社に情報がいきますので、本社で対応の指示を行っています。

――ひとつの会社ですべて行っているからこそのスムーズさもありそうですね。

植田 そうですね。それはあると思います。

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