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顧客満足度No.1で知られる劇団四季。その存在は圧倒的で、演劇界、エンターテインメント界のみながらず、あらゆる企業が対象となる日本最大の顧客満足度調査JCSIでも2022年度総合1位となるなど、洗練されたホスピタリティは多くのファンから信頼を得ています。チケット販売システムからお手洗いの回転率まであらゆるところでお客様を満足させる観劇環境の構築について、劇団四季のカスタマー部部長・植田義人さんにお話をうかがいました(全4ページ)。
取材・文/中川實穗
――四季劇場の観劇環境についてお客様の声を調べていると、あらゆる面で「満足している」という声を聞きます。環境に対して「不満がない」ではなく「満足している」というのはすごいことだと思うのですが、その理由をどうお考えですか?
植田義人(以下、植田) 今回の取材にあたり改めていろいろ考えてみました。いろんな要素があるとは思いますが、やはり我々はお客様の顔が見えているというのがあるのかな、と思います。というのも、「四季の会」(劇団四季を応援する観客の集い)の会員のお客様との向き合いの中で、これまでいろいろなサービスを確立してきたのだなと思うので。
――「四季の会」はいつ頃からあるものなのでしょうか。
植田 『キャッツ』日本初演(1983年)の翌年に立ち上げました。それまでは私設のファンクラブや、地域ごとのファンクラブが各地にあり、それをひとつに束ね、一元化 するというカタチにしたんですね。それ以降は我々としても「四季の会」のお客様の属性やお顔がある程度見えるような状態で共に歩んできたのかなと思います。つまり約40年積み重ねてきたものがあるのだと思っています。
――「四季の会」の会員の方をとにかく見つめてこられた。
植田 そうですね。我々は全てにおいて「四季の会」のお客様を最優先にする、というのを大前提にしています。現在、会員は約27万人いらっしゃいますが、例えばチケットの販売においても、「四季の会」の先行予約に全ての販売可能なお席をお出しします。我々も普段からロビーに立つ時には、どんなお客様がいらっしゃっているのかをとても意識しています。
――先ほど「お客様のお顔が見える」というふうにおっしゃっていたのは、なにか声が届いたりするということでしょうか?
植田 そうですね。いろいろなチャネルがあるのですが、例えばWEBサイトには「200字コメント」というコーナーがあり、そこにはお客様の思い思いのコメント、作品の感想もご意見も投稿できます。我々のWEBサイトができたのが2000年で、その時から今までずっとそのコーナーはあり、そこに投稿されたものは、社長も含め経営幹部が毎日全てチェックしています。もちろんロビーに立つ時にはお客様から直接お声をいただくこともあります。そういったお声に日々触れているぶん、我々としては常にお客様が側にいるという感覚があるかなと思います。
――WEBだけでも23年分の声の蓄積があるのですね。
植田 それと、劇場で起きたことはすべて係の者から経営幹部にレポートされることになっています。これはデイリーで届きますので、劇場での出来事を肌で感じられるような体制になっています。
――そういうところからサービスや取り組みが整えられていくのでしょうか。
植田 そうですね。お声をそのまま何かに反映するということはあまりないですが、まずは「四季の会」のお客様にいかに楽しく充実したカタチでご観劇いただくか、ということを考えることは染みついているのかなと思います。劇団ができて約70年、「四季の会」ができて約40年、その蓄積なので。なので例えば新しい劇場をつくる時のアイデアにも、無意識にお客様の意見を反映していると思います。
――毎日触れているときっと自然に思考に組み込まれますよね。
植田 お声を毎日咀嚼しているので、お客様が今どういうマインドでいらっしゃるか、どういう思いでいらっしゃるか、というところを、常に体の中に入れている状態です。それでいろいろなサービスを考えるので、お客様に寄り添ったサービスというのが生まれているのかなと思います。あとは劇場サービスという面においては、昔から女性のお客様が多いので、女性の意見や視点でいろいろなことが構築されるというところがあります。例えば親子観劇室も子育て中の女性の意見を取り入れて作りました。
――座高が低い子供が利用できるシートクッションも劇団四季さんから始まったそうですね。
植田 そうですね。子供用クッションは1996年から始まったサービスなのですが、保育者 経験がある女性スタッフが考えました。ちなみにそのスタッフが、お手洗いの空室パネルも考えたんですよ。それも恐らく四季が最初だと言われています。
――扉が開くと空室だとわかるパネルですか? その方はすごい発明家ですね。とても便利です。
植田 どうしてもお手洗いの問題は一番大きいので。入口と出口をわけて一方通行にするのもそうですし、JR東日本四季劇場[春]と[秋]は隣接しているので、お手洗いは共有にして、お互いの休憩時間をずらすことで使える面積を増やしているんですよ。設計の段階からそういう工夫があります。