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――劇場側からヴォートルさんに要望があることはありますか?
荒明 やはりいろんな方に劇場に足を運んでいただけるようにと考えている劇場がほとんどなので、例えば車いすで来場される方やハンディキャップをお持ちの方の対応をしっかりできるように指導してほしい、という要望はありますね。
――それは、資格保有者とかそういうことですか?
八尋 そうですね。例えばサービス介助士の資格がある人を一人は入れてほしいとか、上級救命講習だけじゃなくて社内で研修ができるように応急手当普及員を確保してほしいとか、そういったことですね。特に公共の劇場はだんだんと必要なものが増えている感覚はあります。手話ができるスタッフを用意してほしいとか。
――帝国劇場での鑑賞サポートタブレットの貸出のニュースなどもありましたね。ということはお客様の対応で手話での会話の必要性が増えるということですよね。
八尋 そうです。なので私たちも基本的な手話を覚えるとか、そういったことはしています。
――ただ、しっかり手話ができるスタッフとなると、すぐは見つからないですよね。事前アンケートに「人手不足が課題」と書かれていますが、そういうこととは関係していますか?
荒明 でも人手不足はそれ以上に、業種としてというか、こういうお仕事を魅力と感じて働いてくれる方が減っている気がします。
――どうしてなのでしょうか?
荒明 いろいろあると思うのですが、やり甲斐だけじゃ務まらないというか。言ってしまえば、それに見合った報酬でもないという部分もありますし。
八尋 昔は学生のアルバイトも多かったのですが、今は学生があまり、「演劇の近くにいたい」とか「エンタメに興味があるからちょっとやってみよう」みたいなことは少なくなっているように感じます。
荒明 入ってみて、「こんなにいろいろやんなきゃいけないとは。思っていたのと違いました」ってやめていく方もいますね。
――今、学生さんは割と自分の生活費を稼がないといけないという方も多いから、報酬の話とも結びつくかもしれないですね。
荒明 今は例えば主婦の方だったり、生活のためにというよりは、趣味の範囲で楽しく続けられる、という方が多く働いてくださっています。
八尋 そうなるとチーフが育たなくなる、という問題点は出てきます。やはり趣味の範囲だと責任を負いたくないという方も多いですから。
――これは今、業界が抱えている働き手不足の問題と繋がっている気がします。そこは改めてまた考えたいです。
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