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――現在、四季さんが観劇環境にまつわる次の課題として取り組んでいらっしゃることはありますか?
植田 今は特に働き手の確保というのが非常に難しい時代になっていまして。我々も例外ではなく、人材確保というのが本当に大変なんですね。なので、今後はなるべくマンパワーをかけずに運営をしていくということを心掛けていかないといけないかなと思っています。先ほどのチケットレスなんかは、入場口を無人化とまではいかないにしても、もう少し係り員を減らせるんじゃないかとか、当日券の販売なんかも劇場に自動券売機を設置するとか、なるべくテクノロジーの力を借りながら省力化していくということを、次は考えないといけないなと思っています。
――ちょっと意外なお話でした。働きたい方も多そうなイメージです。
植田 アルバイトは学生の比率がだんだん高くなっています。かつてはそんなに高くなかったんですけれども、今は半数以上が学生なんですよ。優秀な方はたくさんいらっしゃるのですが、仕事を教えても学校を卒業する頃には退職されますので、常に研修を繰り返しているという状況が起きます。研修の手間を考えるとなかなか大変な状況にはなっていますね。
――ちなみに札幌や仙台など専用劇場以外で上演される時はどうされているのでしょうか?
植田 そこは直接雇用のスタッフというわけにはいかないので、業務委託の相手と一緒に劇場の運営を行います。その場合も、常にその業者の方と綿密に打ち合わせをしながら、四季のお客様の特性を共有しながら、我々の運営スタッフが必ず常駐しているというようなカタチです。専用劇場でなくても、なるべくお客様には四季の一定のクオリティを接客面でも体験していただきたいなと思っています。
――お話をうかがっていると、とにかくスタッフの皆さんが同じ情報を共有していることがクオリティを保つ秘訣でもあるのかなと感じました。
植田 そうですね。個人にノウハウが蓄積するのではなくて、部署としてきちんと引き継いでいくということをやっています。社員間も週に1回ミーティングを行っていまして、こういうことがあったよということも常に共有し、それを劇場間でも共有していますので。
――ひとつの劇場内ではなく、全ての劇場の出来事が共有されているわけですね。それはどんどん情報が集まるのでよくなりますよね。
植田 よくなればいいなと思っています。社員はシフト制で各劇場を定期的に異動しますし、案内係も定期的に異動しています。それに加えて週1回情報共有も行っています。そういう意味では、各劇場で「四季のクオリティ」というのが保たれていると思います。昔は、各劇場で独自の運営を行っている時代もあったんですよ。それはそれで地域に合わせたサービスという強みもあったのですが、今は平準化し効率化する、というところを目指しています。
1953年創設の劇団四季は、俳優・技術スタッフ・経営スタッフ約1400名で組織される世界でも最大規模の演劇集団。東京のJR東日本四季劇場[春][秋]、大阪四季劇場、名古屋四季劇場など国内に複数の専用劇場を有し、大規模な海外ミュージカルを始め、ストレートプレイ、オリジナルミュージカル、ファミリーミュージカルなど幅広いレパートリー作品を上演する。また、大型招待事業である「こころの劇場」は日本全国の子どもたちに演劇の感動を届け、生きていく上で大事なことを舞台を通じて伝える社会貢献型プロジェクト。